本人以外の人が債務整理を代わりに行うことはできる?
借金の問題は本人だけで解決できれば家族や保証人などに迷惑をかけることもなく、またバレずに済む方法もあります。
しかし、早いうちに対応できなかったり、本人が債務整理に消極的だったりする場合は、身近な人が借金を知る頃には莫大な額になっていることもあります。その時は家族であれば代わりに手続きができないかと思う人も多いと思います。
そこで今回は、債務整理は本人以外が手続きをすることが可能なのか、また本人が借金を残したまま亡くなった場合の対応や保証人への影響についても紹介していきます。
債務整理の概要とは
債務整理とは、借金の返済を無理のないものに変更する手続きのことです。具体的には、任意整理、個人再生、自己破産、特定調停があります。
任意整理とは、裁判所を介さずに債権者と交渉して利息を無くして月々の返済額について見直しをすることです。
個人再生とは、裁判所に申請して3年間で返済を終了できるように借金の金額を調整する手続きのことです。個人再生を利用するためには安定した収入がなければいけません。
自己破産も裁判所に申請を行う手続きのことで、自分の財産を放棄する代わりに借金の返済を行わなくても良いようにすることです。
特定調停とは、任意整理と同じく債権者と交渉して返済条件の見直し等を行いますが、任意整理と異なり裁判所が仲介する手続きです。 債務整理を行っていると過払い金が見つかることもあります。
過払い金請求も債務整理として取り扱われています。
本人以外の債務整理について
本人以外は原則できない
債務整理は原則として本人が行うものであり、家族や恋人が手続きを行う事はできません。
家族や友人など、とても身近な人間が借金問題に苦しんでいたり、なかなか債務整理に踏み切れず思い悩んでいるのを見て、「代わりに債務整理の手続きをしてあげたい」「手助けをしたい」と考える人もいますが、債務整理には基本的には本人の意思表示と手続きが必要になります。
債務整理をするためには、債権者側に取引履歴などの情報開示を申し入れることになります。
その情報の中には、債務者本人が依頼した委任状を持つ専門家か本人以外には開示することができない個人情報が含まれるため、債権者が情報開示をしてくれないことが理由の一つとして挙げられます。
債務整理は基本的に専門家に代理人なってもらう
債務整理を行う場合は、基本的には専門家へ依頼して代理人となってもらい手続きを行います。
資格の無い一般人が代理人として債務整理の手続きを行うことや、本人以外が弁護士や司法書士といった専門家へ債務整理の依頼を行うことはできませんが、本人が「債務整理をしたい」と意思を持って専門家へ依頼した場合は、本人に代わって専門家が代理人として債務整理を行うことができます。
個人情報の取扱に関することや交渉について委任契約を結ぶためにも、債務整理の依頼をする場合は必ず本人との面談が必要となっています。
債務整理の依頼を正式に行うと委任契約が結ばれ、債務整理に関して委任する内容を取り決めた委任状を作成します。この委任状を持つことで専門家は代理人としての権限を持ち、情報開示や交渉などを行えるようになります。
委任状があれば任意整理ならば本人以外の家族でもできる
基本的には債務整理は弁護士や司法書士といった専門家へ依頼するのが一般的ですが、例外として委任状があれば、専門家以外の人でも代理人として交渉を行うことが可能です。
そのため貸金業者と直接交渉を行う「任意整理」であれば、本人以外の専門家でなくても行うことが出来ます。 ただし、弁護士などの資格を持つ専門家以外へ、交渉の報酬を支払うことは違法行為なので注意が必要です。
また、専門家でない人が代理として行えるのは「交渉」のみであり、知識の有る無しにかかわらず権限が少ない代理人では業者側が取り合ってくれないことも多く、専門家に依頼して任意整理を行う場合と比較するとメリットがほとんどありません。
債務整理は弁護士に依頼すべき?司法書士に依頼すべき?
弁護士と司法書士の違い
債務整理の手続きは書類の作成や準備に手間取ることもあるため、一般的に弁護士か弁司法書士に依頼をします。
弁護士は法律を専門に扱う職業であることから、自己破産を含む全ての債務整理においての仕事を引き受けることが可能です。それに対して、司法書士にはいくつかの制約があって、引き受けられる案件が限られているので気を付けなくてはいけません。
債務整理の中でも任意整理であれば司法書士であっても弁護士と同様に代理人になれますが、その場合は借金の額が140万以下に限るという条件があります。
自己破産や個人再生といった債務整理を選択する場合は、司法書士では代理人として手続きを行う権利は認められていないので、これらの手続きを行う時は弁護士への依頼がおすすめです。
任意整理は司法書士も検討する
任意整理は弁護士と司法書士のどちらの専門家であっても代理人として過払い金の請求や債権者との交渉が可能ですが、司法書士は金額が140万円以下に限ります。
ただし、この条件は債権会社1社において適用されるものなので、少ない金額を複数の債権会社から借り入れて、総額が140万円以上ということであれば問題はありません。
この時に少しでも費用を抑えて債務整理をしたいと考えている人は、司法書士がおすすめです。債務整理の案件は報酬を含めた必要な費用は、それぞれの専門家が自由に決めることができます。
一般的に、司法書士は弁護士に比べて安い値段で行えるケースが多いのが特徴です。そのため、自身の借金が140万円の範囲内であれば、司法書士に依頼する方が費用面でのメリットはあると言えます。
個人再生と自己破産は弁護士に依頼する
債務整理の選択の中に個人再生と自己破産という手続きがあります。こちらは借金の額が多すぎて債務者の収入や資産では返済が困難な時に選択される方法で、借金を大幅に減らしたり0にできるメリットがあります。
しかし、これらの手続きにおいて代理人として手続きができるのは法律上、弁護士だけとなっているので注意が必要です。
司法書士はこれらの案件に関しては、書類作成代理人として手続きに必要な書類の作成を手伝う形になります。 自己破産や個人再生は状況によっては裁判所で裁判官と面談を行うケースもあります。
この時に司法書士はその場に同席することはできませんが、弁護士であれば同席が可能です。こういった点から自己破産などは最初から弁護士に依頼をする方がいいです。
債務者本人が死亡してしまった場合
相続人に債務が継承する
相続といえば土地や現金などのプラスの財産のことを思い浮かべてしまいがちですが、借金が残っていた場合にはその借金を相続人が相続することになります。
本人以外が作った借金であり、どんな理由でできたものかわからないとしても遺産として相続します。借金というマイナスの財産を相続してしまった場合には、相続人が返済を継続していかなければいけませんので、現在の日常生活に影響を及ぼしてしまう可能性もあります。
遺産の相続を行うと、プラスの遺産だけを見て相続することを安易に決めてしまうと、マイナスの遺産も全て受け継がなくてはいけなくなります。
ですので、遺産の相続を行うかどうかを安易に決めてしまうのではなく、プラスの遺産とマイナスの遺産をきちんとリストアップして、借金がどの程度の金額なのか、プラスの遺産とマイナスの遺産の差額を考えるなど、しっかりと確認を行っておくことが大切です。
相続放棄を検討する
万が一マイナスの遺産が多くなってしまった場合、必ずしも相続を行わなければいけないわけではありません。
相続人が相続放棄をすることで、故人の遺した借金の返済を行う必要はなくなります。相続放棄はその字の通り、故人の遺した遺産の相続を放棄することです。
故人がなくなってから3か月以内に家庭裁判所に必要書類を提出することで行うことができます。3か月を経過してしまった場合には、遺産は相続するものだと判断されてしまいます。
プラスの遺産もマイナスの遺産も相続放棄は行わないと判断され、故人の借金を引き継いで支払っていかなければいけなくなりますので、忘れないように期限を守ることが大切です。
また注意点としては、相続放棄を行うことで放棄することができるのはマイナスの遺産だけではなく、土地や建物など、プラスの遺産も含まれています。
借金の支払いを行わないのと同時に、土地や建物なども手放してしまわなければいけないケースもありますので、よく考えて相続放棄の判断を行うようにしましょう。
保証人と連帯保証人の求められる権利と義務
保証人と連帯保証人は、どちらも債務者本人が借金を返済できなくなった時に、代わりに返済する事を約束するものです。 債務者以外の財産を担保にする、いわゆる人的担保としては同じですが、保証する範囲は異なります。
連帯保証人には、保証人に認められている催告の抗弁件、検索の抗弁件、分別の利益がありません。そのため、仮に債務者に返済する能力や財産があったとしても、連帯保証人は代わりに返済することを拒否できません。
また、債務者本人が債務整理の手続きを行ない、借金の返済を免除されたとしても、連帯保証人の返済義務はなくなりません。債務者に代わり残りの借金を返済することになります。
金融機関が保証人をとる際は、債務者と同じ返済義務のある連帯保証人にしている事が殆どです。
債務整理をした際の連帯保証人への影響にはどのような効果があるか
任意整理をした場合の影響
任意整理は経過利息と将来利息をカットする手続きですが、返済を免れた分は連帯保証人へ請求が行きます。
任意整理はそれほど大きな減額となりにくいので、連帯保証人への影響は比較的少ないと言えるかもしれません。しかし、連帯保証人へ迷惑をかけることに変わりはありません。
任意整理は債務者が債権者を選んで手続きを行うことができます。債務者に都合が悪い債務は債権者から除外すれば問題は解決します。 そのため連帯保証人がいる債務は整理の対象から外して、任意整理を行ないましょう。
また日頃から連帯保証人の付いている借金を優先的に返済するなど、工夫をしておくことも大切です。借金は自分だけの問題ではなく、連帯保証人にも影響を与えます。
個人再生・自己破産した場合の影響
注意しなければならないのは借金を大幅に減額できる個人再生と自己破産です。
債務者にとっては借金を減らすことができ、生活を立て直せる手続きかもしれません。しかし、任意整理と同じように債務者が免除された分の借金は連帯保証人へ請求が行きます。
請求額を支払えないようであれば、連帯保証人も債務整理をすることになります。連帯保証人自身は借金をしていないにも関わらず、債務整理をしてブラックリストにも登録されてしまいます。
ブラックリストに登録されると一定期間クレジットカードの発行・ローンを組む・新たな借入ができなくなります。
家族への影響はない
よく「家族に保証義務があるのか」と心配する人がいます。債務者の家族や関係性が深い人物に保証義務が求められることはありません。 債務者の免除された借金を支払うのは、連帯保証人です。
債務者の借入時に連帯保証人として契約書に明記されている人にだけ、保証義務が求められます。家族が連帯保証人となっている場合は家族に返済義務が移るため、影響を受けることになります。
家族の中で借金をしている人がいるなら、必ず連帯保証人の有無を確認してください。
必ず連帯保証人には債務整理をすることを伝える
債務整理を行うと少なからず連帯保証人に影響を与えます。勝手に行うようなことはせず、事前に連帯保証人へ連絡しておくのが最低限のマナーです。十分に説明した上で承諾を得てから、手続きを行いましょう。
連帯保証人への影響を最小限に抑えるには、早めに債務整理を行うことがポイントです。生活が苦しいにも関わらず無理をし続けてはいけません。
本来は任意整理を選択できたにも関わらず、無理をしたことで個人再生や自己破産を選択せざるを得ない可能性があります。連帯保証人への負担を増大させることになるので、早めに任意整理など負担の少ない手続きを行うことが大切です。
債務整理時の連帯保証人への影響を抑えるための正しい対応
借金額が少額の場合は協力してもらい完済する
借金を返済できず債務整理が必要な時、もし借金の額が少ないのであれば、親族や友人に協力してもらうことで、借金を完済することができないか検討してみると良いでしょう。
この方法ならば債務自体がなくなるので、連帯保証人への影響はまったくありません。ただしこの方法がうまくいくかは、協力を取り付けることができるかどうか、完済できるだけの資金を確保できるかどうかによって左右されるため、ハードルの高い方法でもあります。
連帯保証人も一緒に債務整理をする
連帯保証人へ迷惑をかけない手段として、一緒に任意整理をする方法もあります。
債務者と連帯保証人の連名で専門家へ依頼し、債権者へ受任通知を送ることで、債務整理を行っても連帯保証人が代わりに返済を請求されることがなくなります。
借金の額が少なければ、短期間の分割払いで済ませられますし、連帯保証人へ与える影響も最小限に抑えることが可能です。ただし、連帯保証人も任意整理したことになってしまい、ブラックリストに登録されてしまうので注意が必要です。
まとめ
債務整理は基本的に本人以外の人が手続きを代わりに行うことはできません。
ただ、委任状があれば本人以外の人でも手続きを行うことができます。その際、弁護士や司法書士の専門家に依頼して、代理人となってもらうことが一般的です。
専門家を選ぶ時は弁護士と司法書士の扱える案件に違いがあります。
司法書士は費用が安い傾向がありますが、「140万円以下の案件しか扱う事ができない」、「簡易裁判所のみ代理人として手続きをする事ができる」という制約があります。
そのため自分の債務状態や債務整理方法から、適正な専門家に依頼する事が大切です。
また、債務整理をすると連帯保証人へ迷惑をかけてしまうことになります。
任意整理で連帯保証人付きの債務を外すのであれば大丈夫ですが、個人再生や自己破産をする場合は確実に連帯保証人に影響が出ます。すので、事前に債務整理をすることを伝えて相談するなどして、影響を最小限にするように努力する事が重要です。
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